「Jコミで印刷できるってよ」システム(β)・・・この世に存在しないはずの単行本を、あなたの手元に一冊からお届け!
最近マンガ業界で増えている、ある現象をご存じでしょうか。
それは、
- 単行本の1巻目は出たけど、2巻目が(描いたのに)出ない
または
- そもそも1巻さえ出ない
という現象です。
最も多いのは、WEB連載が単行本化される場合かと思います。WEB連載というのは、その殆どが「ネット上で連載マンガを無料で読んでもらい、紙の単行本の売り上げで収益化する」ビジネスモデルとなっています。
そうなると、どうしても
- WEB上で連載スタート。
- 紙の1巻の売り上げがイマイチだった。
- 残念ながら打ち切りが内定する。
- 採算が取れなそうなので、2巻は出さないことにする。
- 急に連載も終わる。
というパターンが増えてしまうのですね。orz
出版社だって営利企業ですから、別に「採算が取れなそうでも、必ず全ての作品を単行本化せよ!」とまでは申しません。
しかし「1巻目を買った読者」はどうなるのでしょうか?
2巻分の話が存在するのに読めないだなんて、ちょっと可哀相すぎやしませんか?
雑誌連載なら、雑誌から切り取って保存する手もありますが、WEB連載ではそれも無理です。別にWEB連載だけでなく、実はこの不況のあおりで、各雑誌出版社とも「連載作品を単行本化するハードル」を結構上げているようです。一部の漫画家さん達は、これをよくご存じですよね。
・・・そこで、この現象に対する、Jコミなりの解答を用意いたしました!
名付けて、「Jコミで印刷できるってよ」 システム!!(笑)
これは、
- Jコミに掲載された作品を、ボタン一つで「紙の書籍」として印刷し、約一週間で読者の手元にお届けする
という、画期的なサービスです。(専門の印刷業者さん*1と提携いたしました)
今回はβテストであり、まずは1ヶ月という期限を設けて実際に印刷&配達し、問題が無いかどうか調べてみることにしましょう!
先生方への印税として、定価の50%を設定しました。実は残りの50%は全て印刷費であり、Jコミの取り分は例によって0%です。
そして、最初の実験ということで、今回はJコミで「未単行本化作品」タグがついている作品だけを取り扱ってみます。すなわち、「単行本化されていないはずの作品」が突如、紙の印刷物としてこの世に出現するのです!
・・・いかがです。読者もですが、むしろ漫画家先生たちの方が欲しくなってしまうのでは?!(笑)
■ 概要
- 11月3日〜30日までの間、「未単行本化作品」タグが付いている作品に、「Jコミで印刷できるってよ」ボタンを設置。
- このボタンで注文したユーザーのもとに、紙媒体で書籍化された作品が7営業日以内で発送完了される。
- 1冊から印刷物化できる。
- サイズはB6版(一般的なマンガ単行本と同じ)。表紙はカラーで、本文は全てモノクロ。
- 定価は、印刷費の倍に設定。印刷費以外は全て作者の取り分とする。つまり作者印税は50%。(ただしクレジットカードの手数料だけは、先生方へのお支払金額から差し引かせていただきます)
- 印刷画質は、雑誌のスキャンデータから印刷した場合はそれなりに落ちますが、それでもなかなかの精度です。
さて、この「Jコミで印刷できるってよ」システムでは、
- 漫画家先生方は何もする必要が無い。
- その割に、ハイリターンを得られる可能性がある。
- 未単行本化作品が合法的に「紙の本」になるので、コレクター大興奮。そして実は作者も楽しい。
というメリットしか見当たらず、更に
- 未単行本化作品は、つまり「出版社が自分のところで単行本化してあげられなかった」作品であって、出版社としても文句は付けにくい(^^;)。*2
- むしろ、これで2巻が販売されれば、出版社が持つ1巻の在庫がさばける可能性がある。
- すでにJコミで無料公開している作品群なので、収益分配が単純明快。
という安全性もあって、参加NGという先生はゼロでした。(笑)
文字通り、「漫画家・読者・出版社」が「win-win-win」になる可能性が高いわけです。
気になるお値段ですが、表紙カラーの紙質や製本方法によって、結構変わってきます。
例えば、がぁさん先生の名作『デッドコピー』(99p・未単行本化作品)ですと、
- 印刷費270円 + 印税270円 = 定価540円(+送料180円)
見た目が上質な「表紙マット加工・無線綴じ」なら、
- 印刷費460円 + 印税460円 = 定価920円(+送料180円)
となります。
ふくやまけいこ先生の『ファンテール』(167p・未単行本化作品)でしたら、
- 印刷費580円 + 印税580円 = 定価1160円(+送料180円)
です。
表紙カラーの加工や綴じ方は自由に選択できます。
巻数が増えたりページ数が多かったりすると、当然高額になります。
例えば佐藤マコト先生&伊月慶悟先生の未単行本化作品・『逃亡医F』の3巻全部を「表紙マット加工・無線綴じ」で注文すると、3巻とも軽く200ページを超えていますので、
- (印刷費860円×3)+(印税860円×3)= 定価5160円(+送料525円)
・・・う〜ん、3巻で5000円超は高いかも?(^^;)
しかし合計5000円なら50%の2500円は作者先生の収入になるわけですし、例えこれを印税20%に下げたとしても、買わない人は絶対買わないと思うんですよね。だったら印税50%のインパクトを取りたいと思い、βテストではそう設定してみました。*3
というわけで、ぜひ「Jコミで印刷できるってよ」のβテストで気になる作品を購入して頂き、以下の点のチェックをお願いしたいのです。
- 読んでみて、(特に雑誌からスキャンした作品の)画質はどう思ったか。
- 値段はどう感じたか。印税50%は実際どうなのか。
- 注文から発送完了まで、7営業日以内を達成できたか。
βテスト販売は、11月3日から11月30日までです。よろしくお願いいたします。
今回のβテストが成功したならば、
- 1巻は出たものの、結局2巻が出なかった
- そもそも1巻さえ出なかった
という作品群を、きっと紙の本として救済していくことが出来るようになるでしょう。ご期待下さい!
→ 今回の候補作:「未単行本化作品」タグがついている40作品
★印刷費の計算表(※印税は別)
■表紙マット加工+無線綴じ:
- 〜50p 360円
- 〜100P 460円
- 〜200P 660円
- 〜300P 860円
■表紙加工無し+無線綴じ:
- 〜50p 280円
- 〜100P 380円
- 〜200P 580円
- 〜300P 780円
■表紙加工無し+ホチキス綴じ:
- 〜50p 170円
- 〜100P 270円
■送料
- 1冊 180円
- 2〜5冊 525円
- 6〜10冊 680円
- 11〜20冊 860円
- 21〜30冊 1050円
- 31冊〜 1575円
*1:「製本直送.com」社さんです。http://www.seichoku.com/
*2:単行本化されていないのだから、出版契約書も存在しないことになります。
*3:定価は全て消費税込みです。また「ホチキス綴じ」というのはホチキスが見える簡易な綴じ方で、「無線綴じ」というのは教科書とか同人誌みたいなちゃんとした書籍の綴じ方です。