(株)Jコミックテラスの中の人

マンガ図書館Zに関する実験や報告をするブログです。

実証実験その1「第三者アップロード開始から一ヶ月:どんな作品がUPされ、何が許諾されたか!?」

 

先月の記事、実証実験その1「出版社と組んで、海賊版の投稿システムを合法化しよう」から一ヶ月が経ちました。 

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これは、いわば

  • 読者(第三者)が、好きな作家や出版社に貢献しつつ、好きな本を無料公開できて、さらに自分も稼ぐことができる

・・という夢のシステムです。

この間、第三者からのアップロード数は 81作品97冊にのぼりました。ありがとうございます!

早速、アップロードされた作品群について、実業之日本社さまが作者に連絡を取って下さいました。

高齢の作家さんもおられるということで、連絡はメールや電話ではなく、何と封書で行っております。(そのため少々時間がかかっています)

 

そして、早くも「無料公開OK」の回答を下さったのが、以下の作家さんです。

 

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1992年11月に実業之日本社から初版発行。スキャン原版は第7刷。

「なぜネコは、あんな棚の上の箱に入りたがるのか」、「なぜネコは新聞を広げると乗りにくるのか」など、猫を飼っている人ならとても気になる楽しいエッセイ集。

作者の沼田先生は、動物をテーマにした作品を数多く発表しており、まだ電子化されていない他社の作品も、電子化のご許諾を頂けそうです。(^^)

 

 

 

f:id:KenAkamatsu:20180804233952j:plain成人向けマンガも許諾が出ました!

フライデイ先生は、清潔感のある描線と肉感的な女の子で人気の作家さんです。

今回第三者アップロードされたのは、「comicCanDoll誌」に掲載された10本をまとめて、2007年に実業之日本社から発行された『switch girls』。
震災のあった北海道にお住まいということで、書面での契約が遅れておりますが、既にメールで許諾は頂いております。

掲載はマンガ図書館ZのR18コーナーの予定です。

 

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うわ~っ、これは凄い!!

官能小説界の大家・赤松光夫先生から、書面で電子化のご許諾をいただきました!

赤松光夫先生は今年87歳になられます。今回の実証実験に対して、早々に無料公開の許諾連絡を送って下さったことに、感謝と尊敬の念を抱かざるをえません。 

内容は、表紙に「ゴルフ・エロチカ」とあるように、ゴルフ関連のエロチカ短編小説を12本まとめた単行本です。初出誌はいずれも「週刊小説」。1995年に実業之日本社から発行されました。

官能系でもあっても、文芸はR18ではなく一般に掲載してみます。
 

 

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 集英社など各誌でご活躍し、マンガスクールの講師もされている田中つかさ先生からご許諾をいただきました!

週刊漫画サンデーに平成22年7月号から連載された、『おいしいパンを召しあがれ!』です。

よくあるグルメ漫画ではありませんよ。小麦・酵母・下火などパンの解説に加えて、パン屋(会社)開店における書類や検査や資金繰りなど、興味深いネタが満載です。出てくるパンも美味しそう!

原案の大和田聡子先生からのご許諾も、もちろん頂いております。

 

 

・・・以上の許諾作品については、いずれもアップロード者に10%の広告収益が行きます。作家先生方は(電子化されていない作品ばかりですので)当然喜ばれており、しかも読者は無料で読めて、実業之日本社も手数料と各種データが手に入り、まさにWIN-WIN-WIN-WINですね!

 

また他には、パブリックドメイン(著作権切れ)の作品も20冊アップロードされてきましたので、すぐ無料公開しました。いずれも初期の実業之日本社から発行された書籍だと思われますが、その内容は難解で、いかにも貴重っぽい感じですね。 

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これらは何の本なのでしょうか?! 教えて詳しい人!(^^;)

 

最後に、お詫びです。

  • 今回の「実証実験の対象作品リスト」 にちゃんと載っていたのに、既に他社で電子化されている等の事実が後から判明したため、アップロードZIPが削除となった作品

が何作かありました。(赤川次郎先生の作品など)

そこで、アップロード者に対するお詫び&感謝のしるしとして「500円QUOカード」を実業之日本社さまから頂きましたので、赤松健のサイン入りグッズ(笑)も同封してプレゼントしたいと思っています。

削除になった作品のアップロード者には、これからメール連絡しますので、しばらくお待ち下さいませ。

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 (※写真の赤松グッズはイメージです。QUOカードは実物です。)

 

(補足記事) 現行作品は「公式リンクサイト」化で対応


【現行作品は「公式リンクサイト」化で対応】


現行作品の場合は、漫画村のように

を作り出すことが重要です。
例えば、電子版のジャンプは現在「ジャンプBOOKストア!」でしか購入できないようですが、電子版のマガジン・サンデー・チャンピオンは、BookLive!など各電子ストアで購入できます。それらへすぐ到達できるように、あらゆる雑誌の公式リンク&表紙を自動で一カ所に貼りつけていくわけです。
すると、こういったイメージになります。


この機能を実現するために、主要な電子書籍ストアの販売物タイトルを全自動でクロールし、サイト横断・アプリ横断の「公式リンクサイト」として日夜更新されるシステムを実験中です。*1
これにより、全出版社横断で、あらゆる現行電子書籍を「購入」できる環境を自動的に作り出します。(※本文は有料)
雑誌だけでなく『ワンピース』や『進撃の巨人』などの単行本も、出版社の枠を超えて普通に隣に並んでいることも大切ですね。ただマンガ図書館Zの中に「有料」と「無料」が混在すると不便なので、リンクサイトの方は別サイトにする手もあるでしょう。

*1:このアイデアは、漫画ビレッジというサイトに一部先を越されてしまいました(^^;)。

実証実験その1「出版社と組んで、海賊版の投稿システムを合法化しよう」

2018年4月18日、NHK「クローズアップ現代+」に出演してきました。
テーマは当時話題の漫画村海賊版サイト)で、直後のツイートがこれです。


上記の「出版社と作者が共同で漫画村(のような仕組み)を作り、ただし収益は作者と出版社に正しく分配する」システムについて、これから解説いたします。
これこそは「究極の電子書籍サイト」に近いと感じます。


漫画村事件で分かった3つのポイント 】


現在漫画村はアクセス不能になっていますが、「漫画村が潰れてホントに良かった!」だけで終わらず、もう一歩先に進むべきでしょう。


・・・こういう都市伝説をご存じでしょうか。

  • 「最近の幼稚園児や小学生は、マンガの読み方が全くわからない子がドンドン増えている」

というものです。どのコマから読み始めてどっちに読み進めていくのかが分からないので、マンガなんかいずれ滅びるよ、というのです。
しかし驚いたことに、漫画村があのインスタグラムのアクセス数に匹敵するくらい膨大に読まれました。小学生も社会人も、みんな驚くほど読むわ読むわ。
使いやすく、しかも全出版社横断で、更に無料のサイトなら、みんなまだまだマンガを読むんだということが分かったのです。
そこまで大量に読んでもらえるんだったら、ぜんぶ根こそぎ作者連合と出版社連合が受け継いでしまう手さえあった。まるまる漫画村の読者層をもらえば、すぐに世界最大の漫画サイトになります。さらに、海賊版サイトを支える概念「第三者による投稿」システムを稼働させ、サイトを常時更新&持続可能な状態にできないか、と私は考えました。

  1. 都市伝説「最近、漫画の読み方が分からない小学生が増えている」は、杞憂だった。
  2. 漫画は「他の娯楽と比べても」まだまだかなりの需要があることが分かった。
  3. 漫画村のユーザーは殆ど(96%)国内だった。
    (=翻訳されていないと海外では読まれない)


読者層や利用者数など「確かな需要」が見えたので、
それを適切にマネタイズ(収益事業化)できないか。


漫画村など海賊版サイトを支える概念「第三者による投稿」を、
出版社の協力を得て合法化してはどうか




【 「現行作品」と「絶版作品」に分けて考える 】


まず、漫画を「現行作品」と「絶版作品」に分けます。これは、既存の出版社に迷惑をかけないためです。

★「現行作品」の定義
今も出版社が取り扱っており、重版や電子化、メディアミックスなどの管理をしている作品のこと。
出版社が独占的な出版権や電子化権を持っているので、海賊版サイトに対して削除要請など独自に行うことができる。

★「絶版作品」の定義
作者と出版社で締結される「出版契約」が切れた作品のこと。
海賊版サイトに掲載されていても、出版社は特に守ってはくれない。作者自身が削除要請や訴訟などを行う必要がある。

上の「現行作品」については、本当は「全出版社横断の定額読み放題サービス」が最高なのですが、今はまだまだ実現できそうにありません。そこで、擬似的な手法で再現します。→ 別記事:【現行作品は「公式リンクサイト」化で対応】




【絶版作品は「第三者による投稿システム」で利益分配】


さて、ここからが本題です。絶版作品について、いよいよ「実証実験その1」を行ってみましょう。
まずは今回のパートナー、実業之日本社さまの登場です。

老舗の出版社「実業之日本社」の希望

  • 現在までに自社で発行した書籍の「全て」を電子化したい。(マンガ以外も)
  • ここ10年程の書籍なら大体電子化できているが、それより古い本は売れにくいし、今後も自社で電子化する予定は無い。
  • そもそも絶版の書籍が多く、そうなると電子化する権利が(今のところ)無い。
  • そこをゼロ投資で電子化し、しかも広告収益を得られるとなお良い。

まずは「電子化してみたい作品のリスト」を作成します。
今回は、ざっくり2000年以前の約9000作品を対象としました。かなりの数ですね。マンガだけではなく文芸作品が殆どです。すなわち、今回の実証実験では「文芸作品」も対象となっています。


「実証実験の対象作品リスト(実験スタート時)」をダウンロードする(1.7MB)


そして、次の図の流れで電子化の実証実験を行ってみましょう。

  1. まず、市民(作者でも出版社でもない第三者)が、上記リストから「自分の好きな絶版作品(みんなに読んでほしい漫画や小説)」を(布教も兼ねて)マンガ図書館Zの実証実験コーナーにアップロードします。これは海賊版サイトから落としたZIPファイルでも別にOKです。
  2. アップロードが成功すると、実業之日本社が自社の名簿を使って「作者に、電子化の意志を直接確認」します。
  3. 作者が「電子化OK」なら無料公開されます。「電子化NG」なら公開されません。
  4. 広告収益は1年の間、「作者:出版社:アップローダー」=「80%:10%:10%」の比率で分配されます。*1


このシステムはすなわち、
漫画や小説が書けない人であっても、作者や出版社に貢献しつつ、好きな本を無料公開できて、さらに自分も稼ぐことができる
ということを意味します。
さらに、

  • 海賊版サイトと違って、作者に無断で公開されることはない。
  • YouTubeなどの投稿サイトと違って、作者名簿を持つ出版社が能動的に作者を探し、直接意向を聞くのでクリーンである。
  • マンガ図書館Zの今までの投稿システムと違って、権利者以外でも広告収益の10%を得られる。

という特徴を持っています。




【出版社・投稿者・作者(権利者)のメリット】

★ 出版社のメリット

  1. 出版社は(電子化の予定が無い)過去の出版物を、ゼロ投資で電子化していくことができる。
  2. その際、もはや権利の無い絶版書からでも広告収益の10〜20%を得られる。
  3. 電子化された作品群の閲覧数や具体的な収益額などのデータを、いつでも閲覧できる。
  4. 自社でさえ保管していないような「古く貴重な書籍のデータ」が上がってきた場合、請求すればZIPファイルを無料でもらえる。

★ 投稿者のメリット

  1. 漫画や小説が書けなくても、既存の書籍を投稿するだけで広告収益の10%を得ることができる。(ただし一年間)
  2. 出版社が「電子化されていない過去の出版物」のリストを公開してくれるので、それに沿った投稿をすれば安全である。
  3. 無料の電子書籍プラットフォーム(マンガ図書館Z)を通して、自分の好きな作品をみんなに布教できる。
  4. 作者から「サイン入り感謝状」が届く場合がある。(一応頼んでみます)

★ 作者(権利者)のメリット

  1. 過去の作品や、単行本化されなかった読み切り作など、従来なら電子化が難しかった作品まで電子化できる可能性がある。
  2. 「公開OK」の回答だけ出せば、あとは特に何もしなくてよい。(=実作業が無い)
  3. マンガ図書館ZとZオフィシャル契約をすれば、電子透かし入りPDFが販売でき、51カ国語のフキダシ自動翻訳にも対応できる。


興味を持たれた方、「マンガ図書館Z」のTOPページへどうぞ。
または、実証実験専用のアップロード解説ページへ。
ちなみに現在までにアップロードされている作品は、TOPページの一番下に表示されています。*2




【Q&A】


Q:この「実証実験その1」が成功したら、他の出版社にも広げていく予定はあるのですか?
A:あります。具体的な数字が出てきたら、その結果を知りたい出版社は多いと思いますので、直接お誘いに行きたい考えです。


Q:同じ作品の別スキャン版が、いくつもアップロードされてきた場合はどうしますか?
A:現在は、同一タイトルの複数投稿が掲載可能になっています。作者の許諾が出て本文が公開される段階で、画質の良し悪しを考慮して1つに集約されます。そして最も採用率の高い版をアップロードした人が、広告収益10%を取る形を予定しています。


Q:一回アップロードすれば、広告収益の10%が一生もらえるのですか?
A:もらえる権利は一年間だけです。すなわち実証実験が終われば終了で、もし実験が続く場合も2年目からは「作者:出版社」=「80%:20%」に設定されます。


Q:10%の根拠は?
A:明確な根拠はありません。一応、商業漫画の作者印税率が10%であることから連想した数字ですが、そもそもその「作者印税率10%」にさえ明確な根拠は無く、出版界の慣習でしかないのです。今回の10%が適正かどうかは、実証実験を重ねて確かめていきます。


Q:リスト以外の作品が投稿されてきたらどうしますか?
A:一応作者に確認を取り、もし公開OKならば、リスト以外の作品であっても公開してしまいます。作者と連絡が取れなかった場合はもちろん非公開になりますが、表紙だけは掲載されるので、権利者がそれを見つけて連絡してきてくれることを期待しましょう。


Q:投稿者は匿名でもOKですか?
A:はい、匿名で投稿できます。広告収益の振込用に「銀行口座の登録」は行いますが、その情報は非公開であり、弊社サーバにさえ保管されません。



さて、次回は一ヶ月後の状況をレポートしてみたいと思います。
果たして投稿はあるのか?! 許諾は出ているのか?! 乞うご期待。

*1:ただしアップローダーは収益の受け取りを辞退することもでき、その場合は「作者:出版社:アップローダー」=「80%:20%:0%」の比率になります。

*2:アップロードされ次第、まめに「実業之日本社」や作者に連絡しています。無料公開までしばらくお待ちを。

【Jコミックテラス】メディアドゥグループ入りと、実証実験(1)について記者会見を実施

8月1日13時より、以下の件に関して記者会見を実施しました。

  1. 株式会社Jコミックテラスのメディアドゥグループ入りについて
  2. 実業之日本社と組んだ実証実験その1について


記者会見の場所は、竹橋のメディアドゥHD本社です。
冒頭、講談社森田浩章取締役(Jコミックテラス社外取締役:写真左端)から、Jコミックテラス社に対して期待のお言葉を頂きました。*1


実業之日本社と組んだ実証実験その1」については、次回ブログ記事で詳しく解説いたします。

報道記事の一部をご紹介しましょう。

*1:森田さんは「魔法先生ネギま!」時代の少年マガジン編集長で、今も大変お世話になっておりますm(_ _)m。

【Jコミックテラス】株主変更のお知らせ

ご存じマンガ図書館Zを運営する「株式会社Jコミックテラス」ですが、このたびヤフーグループを離れ、電子書籍取次で業界最大手の「(株)メディアドゥ・ホールディング」の傘下に入りました。また、新たに講談社からも出資を受け、協力態勢を検討してまいります。
メディアドゥホールディングの大株主は「小学館講談社集英社」など大手出版社揃いであり、今回の決定には私も作家として「非常にポジティブな期待感」と「ある種の安心感」を持っています。
赤松も取締役会長として、引き続きマンガ図書館Zの現場指揮をとりますので、よろしくお願いいたします。
弊社株主変更の詳細については、以下のURLで情報をご覧下さいませ。
https://j-comi.co.jp/#modal4


PS.実は、5月から言っていた「出版社と組んだ実証実験その1」が遅れているのは、この件があったからなんです。8月1日からいよいよスタートします!

岡崎つぐお先生の『とりたて一番!』を文化庁の「裁定制度」で利用可能にする実験

しばらく本業(漫画家)に集中させて頂いておりましたが、TVアニメも無事に終わりましたので、一年ぶりに当ブログを再開いたします。
この一年で電子書籍業界は大幅に発展したものの、海賊版サイトの漫画村が日本の全サイト閲覧ランキングでTOP30位に入ってしまうなど、その普及率はもはやインスタグラム並みという話も。
https://www.similarweb.com/ja/top-websites/japan (←いま全日本で26位)
月間ユーザー1億3000万人で月間成長率20%超、うち96%が日本からのアクセスという、爆発的な成長です。
これに対して、私としても色々奇策を用意しておりますので、よろしくお付き合い下さいませ。



ところで。以前のブログで、2007年に亡くなった「柴山薫」先生の作品を合法的に甦らせる実験をご紹介しましたよね。何とその後、当ブログがきっかけでご遺族が見つかり、めでたく集英社から公式に電子化されました。やった!(^^)
・・・このブログがきっかけになって初めて電子化された作品って、結構ありますよね。


そこで今回は第2弾として、岡崎つぐお先生(原案:山崎幸一郎)の『とりたて一番!』(全2巻)という死蔵作品を、合法的に甦らせてみましょう!


『とりたて一番!』は、平成3年にスコラから単行本化された作品で、休刊したコミックバーガー誌で連載され人気を博しました。
「クレジットカードの借金取り立て屋」が主人公の漫画で、基本的には一話完結。青年誌らしい涙あり・お色気ありのストーリーです。メガネの美人上司・湯浅部長がGOOD!

岡崎つぐお先生と言えば、週刊少年サンデーで『ただいま授業中!(1980)』や『ジャスティ(1981)』、『ラグナロック・ガイ(1984)』など、その圧倒的な画力(特に美男美女)で私の世代の漫画ファンを虜にしたものです。


しかし『とりたて一番!』の原案者である「山崎幸一郎」氏の消息がどうしても掴めず、許諾が取れないため電子化も再版も何もできなくなっておりました。
岡崎先生は、もちろん速やかな電子化を希望されております。

  • 原案者「山崎幸一郎」氏について

本作品『とりたて一番!』は、山崎氏の著書『東京カード物語』を元に、大幅なアレンジを加え作成されたものとのこと。ただ、設定など多くの部分を同作品に依拠しているため、「原作」として考え、『とりたて一番!』の公開には山崎氏の許諾が必要と考えるのが妥当です。しかし岡崎先生の方でも山崎氏についての情報はありません。既に作家を廃業されたようで、全く連絡が取れなくなっています。


・・・さあ、これは文化庁の「裁定制度」の出番です!
裁定制度とは、

権利者が不明の場合でも、相当な努力を払っても権利者と連絡することができない場合において、文化庁長官の裁定を受けた上で、著作物等の通常の使用料額に相当する補償金を供託することにより、適法に著作物等を利用することを可能とする

という、著作権法第67条に定められている制度です。
超簡単に言いますと、

  • 権利者がどこにいるか、生きているのかさえも分からないとき、文化庁の長官が「じゃあ手続きを踏まえて供託金をおさめてくれれば、もう使っちゃっていいよ」と利用を後押ししてくれる制度

ですね。


例えば、マンガ図書館Zに電子版の『とりたて一番!』を掲載するとしましょうか。

  1. まずは専門サイトに、「権利者を探している」という広告を出します。
  2. 文化庁に申請し、権利者が儲けるであろう収益予想を示します。
  3. その予想が適正かどうかを専門家が判断します。
  4. 供託する金額を文化庁長官が決め、申請者は法務局に供託します。
  5. 文化庁長官から、使用OKが出ます。

実は、すでに必要な手続きは全て完了し、3月1日から合法的に我がJコミックテラス社が利用可能になっています。(^^)


そこで本日3月2日から、『とりたて一番!』(全2巻)を「マンガ図書館Z」で無料公開いたします!

広告収益は、もちろん岡崎つぐお先生に行きますので、皆さんどんどん読んで下さいね!
個人利用の範囲でコピー可能な「PDF版(電子透かし入り)」も販売しています。合法的なPDFを入手できる最後のチャンスと思われますので、ぜひご購入下さい。
また、青年漫画が多く読まれる他社サイトとして、読み放題アプリ「ビューン」と「ブックリスタ」にも掲載してもらうことにしました。少しでも岡崎つぐお先生の収入のプラスになれば・・・と思います。

・・・ただし、裁定制度は利用期限があります。とりあえず今回は一年間で申請しました。
つまり、『とりたて一番!』は、一年後にはまた利用不可能な作品に戻る、ということです。ご利用はお早めにどうぞ。
特にPDF版は、数十年後に「あの時買っておけばよかった・・・」と後悔する一品じゃないですかね(^^;)。特に海賊版が嫌いな人はね。

「電子書籍版YouTube構想」が、プロ漫画家280名の賛同署名を得て正式スタート

こんにちは、漫画家の赤松健です。
別冊マガジンで連載中の『UQ HOLDER!』が今年10月にアニメ化されるので、よろしくお願いいたします!(※宣伝!)


・・・ところでご存じでしょうか。文化庁がいよいよ著作権法を改正し、「著作者の力を弱めて、ややネット利用者側の利便性に振る」方向性でまとまったようです。


これは「権利制限」と言いまして、もし我々著作者に無断で作品が利用されたとしても、「著作者が文句を言う権利を、一部制限する」というものです。ぶっちゃけGoogleなどに有利な法改正ですね。
この後、「フェアユース制度*1」が導入されると完成形でして・・・そうなるといよいよGoogleAmazonNaverが「電子書籍版のYouTube的な投稿サイト」を構築し、何でもかんでも日本の書籍を無断収録しては「これはフェアユースだ」と主張する事態が想像できます。
既にアメリカの「Internet Archive」などは、世界中のあらゆる書籍データ・動画データ・録音データなどの「寄付(←誰から?)」を受け付け、それらを「歴史的なコレクション」と称して、無償で公開しているのですけどね。*2


私は色々な場所で言っているのですが、

  • 外資系企業に、日本コンテンツを取捨選択&検閲削除するパワーを与えるのは、非常に危険である

と思っています。
既に、検索エンジンや動画はGoogleに、スマホや音楽はAppleに、電子書籍クラウドAmazonに、それぞれプラットフォームを支配されてしまいました。
我々日本人は、それらを利用させていただく立場です。そこにあるものは基本、何をどう削除されようと文句を言う権利はありません。

日本の作家として、これは非常に悔しく情けないことです。


では今、我々がどうすれば良いかと申しますと、電子書籍外資系企業に支配される前に、「著作者たちが率先してプラットフォーム作りに参加する」ことだと思います。できれば、著作者側が主催者になれば非常に強いです。


そこで私は、いわば「電子書籍版のYouTube」とも言えるプラットフォームを2年前から構築し、色々実験を続けてきました。http://d.hatena.ne.jp/KenAkamatsu/20160113/p1


マンガ図書館Zの「電子書籍YouTube」システムは、

  • 権利者本人から、マンガ投稿を受け付ける。
  • 銀行口座が登録されていれば、広告利益を100%お渡しする。
  • ただし出版社が電子化していない作品に限る。
  • そのマンガ投稿が実は権利者からではなかった場合、ホンモノの権利者が「すぐ削除」「しばらく様子見」「広告収益を自分に付け替え」の3つから行動を選べる。

というものです。最後の選択肢はYouTubeと同様の機能ですね。
違っているのは、

  • 広告利益が全て作者に渡される点
  • 海外の価値観による、勝手な検閲や削除が行われないこと
  • 逆に、出版社が扱っている現行連載作品は(例え作者からの投稿であっても)削除される点

です。


この試みについて、複数の大手出版社が支援を表明して下さいましたが、何よりプロ漫画家たちから「この試みを支持する」旨の署名が多く集まっています。

★ プロ漫画家284名による賛同署名(到着順)

赤松健が進める「電子書籍YouTube構想」を、私は支持します。

とだ勝之田中ユタカ朱鷺田祐介加治佐修・毛羽毛現・宝蔵院貴志・梶本潤松浦まさふみ・吉沢蛍・桜野みねね・すぎやまゆうこ・井上元伸・宮本明彦・石山東吉西川伸司内田美奈子井上純一・ひなたみわ・愛田真夕美・春日旬足立淳竜巻竜次海明寺裕・田中正露・山本貴嗣ちばぢろう・くおんみどり・ねぐら☆なお松田尚正カミムラ晋作水野英子島田ひろかず八神健佐藤マコトあろひろし・小林じんこ・松本英孝・竹内未来・亜月亮・萩原京子・河本ひろしあずまよしお永野のりこ長谷川裕一・小林ゆき・陣内みるく・篠原正美・いぶきめぐる・やすこーん・和田繭子・あさいもとゆきかのえゆうしこいでたく新谷明弘笹本祐一樹崎聖西田東・すぎたとおる・江藤ユーロ・岩村俊哉相原コージ・丹羽広次・広石匡司・杉本亜未・松尾元敬・深田拓士スパークうたまろ・まるいミカ・ナガテユカ・橘美羽・服部かずみ・神吉李花・かまぼこRED・丘辺あさぎ・陽気婢飯田耕一郎正木秀尚・しまたか・榎本由美・上西園茂宣・よつば◎ますみ。・松原千波・西川ジュン・椎名見早子・船戸ひとしみずきひとし・えなまなえ・冬凪れく・霧賀ユキ・友吉・よしむらなつき悠理愛・井出智香恵・中貫えり秋津透・☆よしみるあおきてつお・まんだ林檎・海野螢猪熊しのぶ・田中としひさ・古事記王子中垣慶・南澤久佳・若木未生河内実加・浅田有皆・魔訶不思議・西川魯介・高藤ジュニア・たむら純子嶺本八美計奈恵ここまひ川崎ぶら栗原一実・なかにしえいじ・ほりのぶゆき有間しのぶ御童カズヒコ雑君保プ・ひな姫・竹下けんじろう梅川和実・まつもと千春・藤咲真石田和明・高波伸・洋介犬・松田未来・Macop・七月鏡一・芹沢ゆーじ・しまたけひと・遠野かず実・藤緒マリカ・かとうひろし古谷三敏瀬上あきらたかしげ宙中村地里・Dr.モロー・花津ハナヨ桂木すずし・竹山祐右・記伊孝ふじのはるか新居さとし後藤寿庵井上正治ふくやまけいこ田中雅人・摩耶夕湖(マヤよーこ)・浦川佳弥・中山乃梨子・どざむら・夏目義徳・横山了一・カジワラタケシせがわ真子梶研吾・坂木原レム・眠田直・ひざきりゅうた・あまねりつか・むらかわみちお高田慎一郎・幸田廣信・咲香里葛原兄悠宇樹・社佑哉(松森ナヲヤ)・清水ともみ・東谷文仁出口竜正堤抄子・神田はるか・雁川せゆ・御米椎飯閃澪)・きゃらめる堂遠山光おおつぼマキ竹谷州史大野安之喜国雅彦国樹由香岡崎つぐお若尾はるか猪原賽牧野靖弘松山せいじ吉野志穂ほしのふうた松原あきら(松羅弁当)・あきら肇芳崎せいむゆきやなぎ石井有紀子・鏡佳人(深紫’72)・東城和実島崎譲中津賢也一ノ瀬ゆま星崎真紀上総志摩よしまさこ国樹由香・米田裕・西村姜・龍炎狼牙海野やよい・四条トリマル・柳田直和山下てつお・嶋津蓮・高平鳴海・おぎのひとし・小野敏洋上連雀三平)・石岡ショウエイ・たくじ・榊原薫奈緒子福田素子・ものたりぬ(みなづき由宇)・くれいちろう・魔北葵・神塚ときお・山田浩一・くりひろし・椎名晴美・江川広実浦嶋嶺至井荻寿一唯登詩樹永吉たける・河内愛里・上山道郎・宗田豪・佐々江典子・樹木洋二・かわはらしん・山咲梅太郎まいなぁぼぉい東篤志・椎名りつ子・しんむらけーいちろー・東篤志・椎名かつゆき・みにおん・Dr.天拝・深谷陽・おみおみ・奥田桃子・荒木ひとし滝れーき・河方かおる・市川和彦・がぁさん・タナベキヨミ・やまのたかし・やぴ・比古地朔弥・ヨシダ・石田敦子・蒼崎直・夜野権太(やのごん)・梵天太郎事務所・近藤ようこ・浅月舞・祭丘ヒデユキ三田誠・花田朔生・門脇英治・Maruto!・ふじじゅん・定広美香・森園みるく・夏海弘子・平雅巳・SABUROH長谷円浦川まさる・神崎将臣美衣暁星里もちる阿部川キネコ
(※敬称略)

やはり皆さん、外資系企業による日本コンテンツの支配は避けたいとのことです。
また、現実問題として「(特に絶版漫画が)海賊版業者に利用&搾取されている」のは事実であり、ネットワークを通じて作品が「再評価」される仕組みを整備することが、多くの作家を助けることになるだろう、などの声が上がりました。
私は大変勇気づけられています。


こうなれば、電子書籍YouTube「著作者主導による完成」をやってみるしかないです。


ちょうど先日、慶應義塾大学経済研究所の田中辰雄准教授からも、海賊版マンガは、最新作の売上げを減らし、旧作の売上げは促進させるという論文が発表されました。「最新作の海賊版は叩くが、旧作の海賊版著作者側で海賊版データをもらってしまい、直接収益化するほか、プロモーション目的にも使えば良い」という私の結論とも合致しています。


また、例の『王ドロボウJING』『オレ通AtoZ』が投稿されてから半年ほど経っていますが、特に削除要請はありません。http://d.hatena.ne.jp/KenAkamatsu/20161111/p1
そして今、「王ドロボウJING ZIP」でググって海賊版を探してみると、海賊版データはほぼ全て削除(リンク切れ)になっている上に、一番上位に来るのはマンガ図書館Zです。マンガ図書館Zでは(銀行口座が登録されていないため)広告収益がプールされており、出版社にも熊倉先生から連絡が来たらすぐ知らせてもらう旨を頼んであります。


・・・もしこの状況を批判するとして、それは「誰が」「何のために」批判するのでしょう? また、280名のプロ作家の意向はいかがでしょうか?
ネットで発言しにくい方は、私の個人メールへどうぞ。 akamatsu@biglobe.jp


いよいよこの4月から、マンガ図書館Zでは「電子書籍YouTube構想」を正式スタートさせています。既に、いくつか作者からの投稿もあるようです。


今後とも、私の挑戦を見守っていただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。



【続報】
何と熊倉先生と恋緒先生に連絡が付き、本人確認もできたため、出版社から公式に電子化されることになりました。そこで予告通り、マンガ図書館Zからは削除させていただきます。めでたしめでたし。(^^)

*1:公正な利用なら無断使用でも著作権侵害にならない

*2:例えば古いマイコン雑誌『I/O』も無断公開されており、私も愛読しています。I/O関係者の考えはコチラ