(株)Jコミックテラスの中の人

マンガ図書館Zに関する実験や報告をするブログです。

(18) 違法絶版マンガファイル浄化計画


・・・・あなたは、「Winny」や「Share」やその他ネット掲示板などで、
  マンガの違法なZIPファイル*1
を入手したことがありますか?




え? ある?


それはいけませんねぇ〜。しかしまあ、誰でも一度くらいはありますよね。



・・・・で、そのマンガZIPファイル、どうしてます?
え・・・まだ持ってるんですか?



恐らくその作品は、あなたにとって大切な、そして大好きなマンガ作品なのだと思います。(^^)


でも、その違法ファイルを大切に持っている事が、作品自体を傷付け、また
「これ持っている事を、誰かに知られたらイヤだなぁ。」
という後ろめたさで、あなたの心も傷付けてはいませんか?



そこで提案です!


実はそのマンガZIPファイル・・・
もし絶版作品だったら、「完全に合法化」する方法があるんです!
しかも、作者先生に利益が出ちゃう!!ビクビクッ!



これこそ、Jコミ春の奇跡のキャンペーン!


このキャンペーンこそ、

まさに我々ネット市民の贖罪(しょくざい)だ!(><)

★ いよいよ明日(4/12昼)、Jコミ正式公開!→http://www.j-comi.jp




・・・さて、ここからはいつもの感じで行きます。(笑)



マンガの場合、雑誌に連載中の作品(例えば『ワンピース』等)は、ネットに違法アップロードされていないかどうか、出版社(集英社など)が常にパトロールしています。
そして、Winnyなどで違法配信*2されていることが分かった場合、その配信している人を警察にチクって、悪質な場合は逮捕してもらうのです。
こ、恐いですね〜。違法なマンガ配信は止めましょうね!


ところが絶版マンガの場合、誰もパトロールしてません。
出版社も「絶版マンガ」に関する権利は何も持ってないし、作者だってそんな大規模なパトロールなんかやってるヒマ無いっていうか、技術的にも出来ないでしょう。
漫画家さんは多くが個人で活動しており、違法配信を発見しても、警察や裁判所へ連絡する術さえ知らないことが多いのです。(これは同人誌も同じことです。)


じゃあ、ネット上で違法に流通している絶版マンガの権利は、誰が守るの?


・・・・実は、誰も守っていないのですよ!!


いいんですかコレ?!


そこでJコミでは、みんなの力を借りてネット上をパトロールし、「違法ZIPファイル」(※絶版漫画のみ)を回収する計画を考案しました。
そして、作者のOKが得られた漫画ファイルにのみ、広告を自動挿入して、PDF化したりアルヌールで読めるようにし、その純利益を作者へ100%お渡ししようというわけなのです。


最終目標は、ネット上に流れる全ての「違法な絶版マンガファイル」を、「広告入りの正規版(作者がOKしたもの)」と入れ替えること!(一体何年かかるんだソレは。(^^;))
・・・これは今、Jコミにしか挑戦し得ない大事業と言えるでしょう!



ただ実はこれ、結構危険な計画なのです。詳しくは後述します。




【どんなやり方で絶版マンガを回収するの?】

    1. まず、もし「違法な絶版マンガファイル」を持っている方や、WinnyやShareなどP2P上に存在するソレを知っている方がいましたら、Jコミに現物を提出(アップロード)して頂きたいのです。
    2. それらのファイルは、すぐには公表されません。Jコミが作者と連絡を取り、許可を得て「浄化*3」してから公表します。これをもって「贖罪*4」とします。
    3. もし、そのファイルが絶版マンガではなかったら、誰にもどこにも公表されないまま、消去されます。
    4. 絶版か新作か迷った場合は、Jコミと作者が判断します。
    5. 作者のOKが得られ次第、そのマンガの全ページに自動的に広告を付けて公表し、作者の皆様に広告収入をお渡しできます。もちろんJコミの取り分は0%です。
    6. もし作者のOKが得られなかったら、そのファイルは見捨てられ、そのまま地獄(Winny)を漂い続けるのです。恐らく永遠に・・・・。


もしかして、著作権法に詳しい方。1のアップロードの段階で、複製権が侵害されているとお思いでしょう。

  • しかし、万が一Jコミに悪意を持った作家がいたとしても、自分の作品がアップロードされているかどうかは分からないので、親告罪の訴えは起こすことができません。
  • 例えJコミから、自著がアップロードされた旨の連絡が行った場合でも、Jコミは「作者による発信者情報の開示請求」に応じる必要はありません*5。もちろん、削除要請には応じます。


・・・どういうことかというと、何とJコミでは、「アップロードした人の個人情報は守られる」ということです。(この辺は、動画投稿サイトや匿名掲示板などとは根本的に違っている部分ですね。)


そしてJコミは、ネットに出回る「違法なマンガZIPファイル」に対抗するため、あえて上記のような手法をとることを決めたということを知って欲しい。
このままでは、ネット上での違法マンガの被害額が増える一方です。また、他にP2P等に対抗できる方法があれば、教えて下さい。



【ご注意】
ただし、初心者の方が「新たに」Winnyなどに参加して違法ファイルを回収することは大変危険ですので、Jコミでは推奨いたしません。
WinnyやShareなど日本でメジャーなP2Pソフトでは、漫画だけを入手しようとしても、意図せず漫画以外の悪質なファイル*6を拡散してしまう危険性があります。




さて、この「違法絶版マンガファイル浄化計画」は、Jコミの正式公開日(4/12昼)と同時にスタートします。
すでに、「自分の作品は公開OK」という作家を集めたホワイトリストJコミは持っていますが、ほとんどのマンガファイルは、新たに「作者の許可」を得る必要があるため、しばらく時間が必要となるでしょう。
また、作者が亡くなられ遺族も見つからない場合は、文化庁で裁定手続きをとって収録できるのですが、それにもちょっと時間が必要です。


実際、我々Jコミのスタッフだけで、この大計画が実現できるかどうかは分かりません。
しかし、出来る限りやってみますので、願わくば見守っていただければと思います。
また漫画家の皆様、「違法絶版マンガファイル」撲滅のために、ぜひ先生方のご協力もお願いいたします。

*1:マンガをスキャンし、そのjpg画像を圧縮して一つにまとめたファイルのこと

*2:常にダウンロードできる状態にすること

*3:合法ファイル化

*4:しょくざい。罪をあがなうこと。

*5:プロバイダ責任制限法第四条の最初の部分に「特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は」とありますが、アップロードされた作品を公開しない状態では「情報の流通」がないので、Jコミは発信者情報を開示する義務が無いのです。(※複数の弁護士の共通見解)

*6:ウィルスや児童ポルノなど