(株)Jコミックテラスの中の人

マンガ図書館Zに関する実験や報告をするブログです。

(2) 今ある「電子マンガ」の問題点

電子書籍というと、普通はDRMというのがかかっています。
これは、「そのパソコン(または電子ブックリーダ)以外では見ることが出来ない」という、一種の暗号機能です。
これがないと、コピーされまくって、世界中にバラまかれてしまうわけですね。

しかし、

  • 電子書籍にDRMがかかっていると、友だちに「これ面白いから読んでみろよ!」とコピーしてあげることができません。*1
  • 買った電子書籍は、基本的にそのパソコン(または電子ブックリーダ)の中にしか入っていないので、パソコンを買い換えたら、電子書籍も再び買い直さなければいけません。*2
  • クラウド型の電子書籍だと、万が一その会社がつぶれたら、もう見られないですよね。ネット環境のない無人島でも読めませんし。


・・・それって、せっかくお金を出して電子書籍を買ったのに、ひどくないですか?
紙の漫画だったら、こんなことは無いはずです。




■ 検閲が厳しいぞ

もう一つ。
何か、今ある電子ブックリーダの会社(特に海外の)って、かなり検閲が厳しいんですよ。

電子コミック「働きマン」が配信拒否になった理由--電子書籍時代の検閲

ちょっとくらいオッパイ見えてたからって、いいじゃないですか。
別に成人向けマンガじゃなくて、一般商業誌に載っている作品なんですよ!


・・・これって、ちょっと「文化とか価値観に対する侵略」っぽくないですか?!(笑)

「こういうのはOK」「こういうのはダメ」って、一般企業の価値観で勝手に決められてしまうのです。作り手側から見ると、これは結構問題かと。(しかも、拒否した理由を説明しなくていいのだそうです。)


せめて、成人向けではない「一般商業誌」に載ってた漫画は、問答無用で全部OKにして欲しいですよね。
例えば、マガジンとかジャンプとか・・・。




不本意(?)な読まれ方

あと、携帯電話(ガラケー)のマンガビュワーでは、一コマごとにバラして、マンガを読むシステムが一般的なのです。
しかし、我々漫画家は、結構「見開き」や「めくり」のインパクを考えて描いてたりすることも多かったりします。

一コマごとにマンガ読まれてもちょっと・・・・まあ、不本意とはまでは言いませんが、100%納得のいく手法とは言えないでしょう。

やっぱモバイルでも1ページごと、パソコンなら2ページの見開き単位で読んで欲しい!


また、自分でマンガを裁断してスキャンすることを「自炊」と言いますが、自炊が終わって必要無くなった「裁断済みのマンガ」が、オークションにいっぱい出ています。これって、漫画家から言わせると、結構危険です。際限なく、どんどんスキャンされちゃいますよ。ページがバラバラだから落丁も多そうだし、何か心配。

落丁のない、無料で合法的なマンガファイルがあったら、こんな心配もなくなります。

*1:”一定期間だけ貸す”ことができる電子書籍もありますが。

*2:一定期間だけ、何回か再ダウンロードできる会社もありますが。